レニショウ・ホール Renishaw Hall
15日に時間がなくて見送ったレニショウ・ホールが諦めきれない。
極めて少ない情報の中で”ここは良さそうだ”と閃くものがあったガーデンだ。
そこで、ノースヨークシャーに向かう前に寄り道することにした。オープンは10時30分なのでホースレイゲート・ホールのガーデンを
のんびり楽しんで出発したのだが、10時10分に着いてしまった。今夜から4泊のホテルはディナーが2日分付いたパックにしたのだが、
まだその日にちを連絡してなかったので、この待ち時間に電話を入れる。ディナーは19時15分からと決まっているらしい。
入口に最も近い場所に駐車していたのでゲート(写真下左)から出てきた紳士が話しかけてきた。「ウエルカム。どこから来た? ホールの予約はしてあるか?」
など話している内にガーデンがオープンしたようだ。ゲートと思っていた所はミュージアムの入り口でガーデンの入り口は別の所だった。
"Ticket Kiosk"で料金を払い入場すると"The Top Lawn"という芝の広場に出る。六角形の建物が目に入る。ガーデンマップに"Gothick Aviary"とある。
何と昔は鳥小屋だったのだ。その隣の並木は"Lime Avenue"80m程の長さだ。並木の終点には何かフォーカルポイントが見える。
その隣がホールの南面に展開するアウトドアールーム・ガーデンだ。イチイの生け垣で仕切られたガーデンが12あるという。期待のガーデンだ。
最初の部屋は"The 'First Candle'"と称しているが、真ん中に噴水のあるフォーマルガーデンで名前の意味は理解できない(写真下右)。
次の部屋が"The Middle Lawn"だ。正にホールの真前に広がる芝の広場だが、その美しさは表現し難い。パノラマ写真でイチイの生け垣の厚さ、
その前のボーダーの植え込みのリズミカルな形・色、白い優雅なオベリスク、ホールの壁を覆う植物などお楽しみあれ。
この光景はガーデンの中心にあるから何度も舞い戻り飽きることなく眺めることになる。
レニショウ・ホールは1625年にシットウェル家(Sitwell Family)の住まいとして建てられ、現在もその子孫が居住している。
ガーデンは基本的に1886年から1889年に造られたイタリアン・ガーデンだが、1895年にSir George Sitwellにより改造されたようだ。
ホームページによると最近になって屋敷からガートルード・ジキール(Gertrude Jekyll)とエドゥイン・ランチェス(Edwin Lutyens)からの
ホールやガーデンの設計図や写真を含む手紙が発見されたという。画家のガートルード・ジキールと建築家のエドゥイン・ランチェスは
協力して19世紀末から20世紀初めに掛けてコテージ・ガーデンやアウトドアルーム・ガーデンを確立した二人だ。
このガーデンの仕切りが不十分でアウトドアルーム・ガーデンとしては完成度が低く感じるのは1895年という年代に関係がありそうだ。
すなわち、改造時にはまだ黎明期にあったアウトドアールーム・ガーデンと元からのイタリアン・ガーデンを融合させたものだから
完成度が低く見えるのだろう。
ジキールとランチェスといえども試行錯誤しながらのガーデンデザインだったと思うと気持ちが楽になる。飽くまでも素人の推察に過ぎないが。
ここからホール前のテラスに上がる。"The South Front"だ(写真下左2枚)。ホール前を飾るボーダーの植栽も多様で多彩だ。
ホール東角のルームは"The Ballroom"だ(写真下右2枚)。舞踏会が開けそうなほど整備され美しい庭だ。
生け垣の前の2頭の馬に牽かせた貝殻の戦車に乗っているのは海の神ポセイドンと見た。
"The Middle Lawn"の東の並びが"The 'Second Candle'"だ。The 'First Candle'と同じ噴水があるが"Candle"を想わせるものは見当たらない。
並行して二つのサンダイアルが置かれている。全てのオーナメントが重厚だ。
The Ballroomと東側の森に挟まれた部分がThe 'Chapel End'"だ。ガーデンの一隅に建物の残骸のようなものが並べられており(写真下左)、
別の一角にもそれらしきものが飾ってある(写真下左から2枚目)。
森の中の小道を南に進むと落ち葉の中に原種のシクラメンが密かに咲いている。
その先が"The Stone Tank Garden"だ。名前の通り大きな石の桶があるガーデンだ。嬉しいことはただ古いガーデンを守っているだけではない形が見られることだ。
それがガーデンの周りに配された数々の新しいトピアリーだ。陽だまりでの経験からして何十年もは経ていないと思われる。
左から”キリン”、”かたつむり”、”鳥”、”うさぎ”、”犬”と見受けた。キリンの角が面白いアイディアだ。
かたつむりは陽だまりでも作成中で親近感が湧く。犬の飛びつくようなデザインが良い。幾つかアイディア頂きだ。
ガーデンというものは古き良きものを守りつつ常に進化して行くことが大切だと確認できて嬉しい。
次はホール前のThe South Frontから数えると2段目のテラスと3段目のテラスの間のボーダーだ。石垣とイチイの生け垣に挟まれた80m程のロングボーダーだ。
The Middle Lawnへ上がる階段の両脇にある像はディアナとネプトゥヌス(ダイアナとネプチューン Diana and Neptune 写真下右2枚)で
このガーデンの像の中で最も価値のあるものだという。
3段目のテラスも3つのルームに別れている。中央は"The Swimming pool"と名付けられている。
プールは直径20m程あり、中央から噴水が高く吹き上がる。囲まれた生け垣の前はバラを含むボーダーになっている。
The Swimming poolの東側が"The Fish Pond"だ(写真下左から2枚目)。ポンドの中の島の植栽は今一つだ。
4段目のテラスは半径15m位の半円形のガーデンで"The Half Moon Borders"と分かり易い命名だ。
そこへ下りる円形階段の脇にも神話の神であろう像が立っている(写真下右2枚)。何んとも荘重・優美なガーデンだ。
像が見下ろす先は何処までも牧草地が広がっている。
ここはウッドランド(Woodland)もきっと良さそうだと思い訪れる。ウッドランドの入り口にも二つの像が立っている。こちらは兵士のようだ(写真下左)。
奥へと進むと"The Bluebell Woods"にでる。深い森の中に"The 'classical Temple'"の姿が神秘的だ。
ましてや周囲がブルーベルの花で埋められたらどんなことになるのだろう。想像するだけで身震いする。
ここはモダンな像も色々展示されている。The Bluebell Woodsにあったのはポリスマンをモデルにしたものらしい(写真下右から2枚目)。
ミュージアム(Sitwell Museum and the Performing Arts Gallery)の中庭にあったのは何を表現しているか分からないが力強さを感じる(写真下右)。共に金属製だ。
素晴らしいガーデンの記念にショップで小さなシュガーポットとミルクジャーを求める(写真右 下のトレーについては後日のお楽しみ)。
Address | Renishaw, Sheffield S21 3W |
Telephone | 01246 432310 |
Web Site | Renishaw Hall |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。